導入の背景
増加する救急出動と多言語対応の必要性
札幌市消防局では、32の救急隊が24時間365日出動態勢をとる。119番に救急要請があると、GPS上で要請場所から最も近くにいる救急車が出動。現場では患者の観察や処置と並行して、携帯電話で病院に受け入れを要請し、受け入れ可能な病院に患者を搬送し、引き継ぐ。
出動から帰着までの所要時間は平均1時間程度だが、戻る暇もなく次の現場へと出動要請がかかることも珍しくない。2016年中の救急出動件数は91,426件で、初めて9万件を超えた。10年前と比べると約1万6千件増加しており、今後も増加が見込まれている。
また、最近顕著なのが、外国人傷病者の増加だ。「札幌市が外国人観光客誘致に力を入れており、今後も外国人の方は増えると考えられます。ですが、救急隊員も多言語に堪能なわけではなく、コミュニケーションは大きな課題の一つです」(村西氏)
増加する救急出動に加えて多言語対応などの新たな課題にも対応するため、札幌市消防局は「ICTを活用した消防と医療の連携強化事業」を立ち上げ、他自治体などの事例も参考にしてタブレットの配備を決めた。「タブレットは携帯しやすく、一つの端末で複数の役割を果たせることから、さまざまな課題への対応が可能になると期待していました」(村西氏)

- 村西 拓海 氏
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札幌市消防局
警防部救急課

- 柳原 卓 氏
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札幌市消防局
警防部救急課