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キッセイコムテック株式会社様

課題
通信の品質に不満がある

ARTERIA光 インターネットアクセスで、展示会当日のバーストトラフィックにも対応
進化するMICEをバックボーンで支える

国際会議や展示会などのビジネスイベント(MICE)において、ネットワークの重要性は年々増している。MICE領域に特化したITインフラを提供するキッセイコムテックの「MICE向けネットワークサービス「MICE-NET® 」は、インターネット接続の強化を目的に、アルテリア・ネットワークスのARTERIA光 インターネットアクセス2.5Gbpsタイプを導入した。

※ARTERIA光 インターネットアクセスは2022年4月1日よりUCOM光 ファストギガビットアクセスに名称を変更しました

お客様概要

企業名:
キッセイコムテック株式会社
業種:
情報通信業(ソフトウェア)

キッセイ薬品工業の情報システム部門が分離独立し、1985 年に設立したシステムインテグレーター。システム企画から、開発、運用迄のシステムインテグレーションサービスを中心に医療・研究機関向けパッケージソフトの開発、情報機器レンタル事業を展開している。 MICE-NETは、キッセイコムテック株式会社の商標です。

インタビュー

芳澤 明信 氏

システムリソースサービス事業本部
レンタル事業部長

進藤 浩之 氏

システムリソースサービス事業本部
レンタル事業部
営業部長

導入の背景

MICE向けネットワークをワンストップで提供

MICEとは、会議・研修・セミナー(Meeting)、招待・優待・視察(Incentive)、大会・学会・国際会議(Convention)、展示会(Exhibition)の頭文字をとった造語だ。MICEでは、数日間の会期に合わせて会場が設営される。その中には、ファシリティの一部として、会場内のネットワーク接続が含まれる。

キッセイコムテックのMICE向けICTトータルサービスは、会場内で使用するハードウェア・ソフトウェアのレンタル、設営、配線、インターネット接続回線の手配だけでなく、ネットワーク設定や当日の監視・運用までワンストップで提供するサービスだ。「機材提供、設営、接続回線などを個別に手配する事業者は他にもありますが、様々な規模のイベントに対して常時全てのサービスを提供しているのはうちだけ。その意味で、競合のいない、オンリーワンのサービスだと自負しています」(芳澤氏)その中核となるのが、会場内ネットワークからインターネットアクセス回線までを提供するMICE-NETである。

スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス普及に伴い、会場向けネットワークでは無線LANのニーズが高まっている。また、同時に接続する端末数も増えており、「最近では数千台単位の同時接続が求められることも珍しくない」(進藤氏)という。出展社が個別にアクセスポイントを動かしては電波状況が悪くなるため、幕張メッセのような大きな会場の全館無線LANを一括して管理するサービスも提供している。

「会期中に何があっても動かす」現場対応力が強み

通常のネットワークであれば、あらかじめ想定したノード数、端末数、トラフィック量に合わせて設計を行い、想定通りのパフォーマンスが出ていなければ運用しながらチューニングすることができる。しかしMICEでは、会期中のネットワーク遅延や切断はご法度だ。出展社にとって展示会は一期一会の大事な商談の場であり、「ネットワークが不調でデモができない」ということは許されない。

「特に難易度が高いのがゲーム関係の展示会です」(中澤氏)まず、前日までのセットアップで、会場に持ち込んだ端末のソフトウェアアップデートを各社が行うため、膨大なトラフィックへの対応が必要だ。何百台もの端末が数GBのデータをダウンロードするため、一晩中1Gbpsのトラフィックが流れていることもあるという。さらに、出展社ブース間の接続、本番のデモンストレーション用サーバーへの通信経路の指定、セキュリティの都合で特定のIPのみでの接続指定など、各社からさまざまなリクエストが入る。

複雑な要求を満たすネットワークを迅速に設営するために、中澤氏らのエンジニアリングチームがネットワーク機器を事前に仮構築・検証してから現場へ搬入する。それでも設営後にはさまざまな対応が発生し、現場で設定を変更しなくてはいけないことも多い。「イベントは追加変更対応がとにかく多い。私たちはそれに合わせた動きが出来るのが強みだし、お客様にも支持をいただいています」(進藤氏)

中澤 賢 氏

システムリソースサービス事業本部
レンタル事業部
エンジニアリングマネージャー

導入の経緯

1IPで10Gbpsまでのキャパシティに、導入を即決

臨機応変な対応のためには、余裕が必要だ。特にインターネットアクセス回線は、複数の経路を用意するだけでなく、バーストトラフィックに対応できる十分なキャパシティが必要になる。MICE-NETは、メインの接続としてMICE会場をNGN網のIPv6 VPNでゲートウェイとなるアルテリア・ネットワークスのComSpaceに接続し、そこから複数のアクセス回線でインターネットに接続する「MICE-NET Provider」を提供する。

フレッツ接続時にボトルネックとなるPPPoEを経由しないため、遅延が少ないのが特徴だ。他に、ComSpaceとの接続を短期専用線による帯域保証型接続にするオプションや、バックアップとしてフレッツ網経由のインターネット接続も用意している。

ComSpaceからインターネットの接続には、元からアルテリア・ネットワークスの「UCOM光 スタンダードギガビットアクセス」を使用していた。さらに「ARTERIA光 インターネットアクセス」を導入したのは、展示会当日のパソコンのOSアップデートトラフィック対策のための回線増強が必要になったからだという。「ほとんどの展示会は月・火で設営して水曜日が本番ですが、毎月第2水曜日はパソコンのOSアップデート配信の日に重なります。この日は朝一番に起動したパソコンが次々にアップデートサーバーに接続して更新プログラムをダウンロードするため、トラフィックのバーストが発生します。これがスムーズにさばけないと、初日の開場時にブースにあるパソコンが動かないという大トラブルにつながります」(中澤氏)

当初は1Gbpsの回線を複数追加導入する予定で検討していたが、ARTERIA光インターネットが10Gbpsまでの回線を提供していることを知り、導入を即決した。発注から約2ヶ月後の2019年3月から稼働している。「2.5Gbpsへの増強で、バーストトラフィックに対して1.5倍から2倍の余裕をもたせることができ、ネットワークの設計がかなり楽になりました」(中澤氏)
 

導入の効果

増えつつある映像配信系のニーズにも安定した対応

稼働から約4ヶ月経ち、ARTERIA光 インターネットアクセスは東京や大阪などの大型会場でのイベントを支えている。「もともと、トラフィックの増大を予想して増強した回線。特にトラブルなく安定して稼働しているということは、未然に対応できたのだと思います」(中澤氏)という評価だ。

最近増えているe-Sportsやストリーミング配信でも、安定した回線は重宝されている。「PPPoE経由の回線だと、どうしても遅延を含めてクオリティにむらが出ますので、その点では安心して提供できます。今後、MICEのネットワークは映像配信系でどんどん使われるようになると思っているので、安定した遅延の少ないネットワークを作っていくのは重要だと思っています」(芳澤氏)

MICE-NET Vehicle

今後の展望

展示会場から屋外へ、ロケーションを拡張

「私達の主戦場はMICEであり、それはこれからも変わらない。でも、ネットワークそのものが20年前とは大きく変わっています。最新の技術+アルファのあるネットワークをMICEに提供し続けたいと考えています」と芳澤氏は語る。最近の取り組みが、ロケーションの拡張だ。展示会場内だけでなく、屋外でも展開できるよう、「MICE-NET Vehicle」を導入した。テレビの移動中継車のように、ネットワーク機材とアンテナを積んだ発電機搭載車両が出向き、その場でネットワークを提供する。MICE-NET VehicleからComSpaceにLTEを複数束ねて接続することで、どこでも高速インターネット通信が可能になる。現在、1台が稼働中だが、さらに2台増強した。

単純に屋外イベント会場でのインターネットアクセスポイントとして機能するだけでなく、防災イベントなどの様子を束ねたLTEや無線で離れた場所へ中継する拠点間ネットワークを構築したりと、使い方もさまざまだ。今後は複数台のMICE-NET Vehicleを利用して、2ヶ所を映像で接続したイベントも考えられる。「車1台で移動するだけで、電源やテント設営など不要でネットワークが利用できる。こういうものがあることで、お客様が潜在ニーズに気づくヒントになるような、そういうサービスを提供できればいいなと思っているのです」(芳澤氏)

ネットワークインテグレーターを目指すパートナーに

レンタル事業がコアとなっていることの強みが、さまざまな機材の中から選定が可能になることだ。狭い場所に高密度に人が集まる会場と、入り組んだ形状の会場では適した機器が異なるため、複数のメーカーの機材の中から最適なものを選定する。「新しい機器はできる限り発売直後に導入するようにしています。もちろんトラブルがあって苦労することもあるけれど、新製品のファーストユーザーならメーカーも全力でバックアップしてくれる。そういう信頼関係の中で、お客様にもニーズにあったよいネットワークを提供できる。本当に、メーカーさんには感謝しています」(進藤氏)

「我々はメーカーでもなく、キャリアでもない。機器のことや回線のことはプロにお任せして、ネットワークインテグレーターとして新しいことにチャレンジしていきたい」と芳澤氏は語る。最近は、花火大会などのイベント会場や、F1観戦のためのスマートスタジアムシステム導入のためのネットワーク構築に向けたデータ収集を始めている。また、ローカル5Gなどの新たなネットワークにも積極的に取り組もうとしている。

どのようなサービスであっても必須となるのは、バックボーンを提供するキャリアとのパートナーシップだ。「会場でトラブルがあった時に、『キャリアと連絡がつかないので待って下さい』は許されない。アルテリア・ネットワークスさんの柔軟で迅速なご対応には大いに助けられています。これからも新しいサービスを提供していくためのパートナーとして、品質の高いネットワークの提供を期待しています」(中澤氏)短期のICTネットワークというマーケットのオンリーワンであり続けるためのチャレンジを、アルテリア・ネットワークスが支えていく。


※本記事に記載のARTERIA光 インターネットアクセスは2022年4月1日よりUCOM光 ファストギガビットアクセスに名称を変更しています。