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平塚市教育研究所様

課題
通信コストを見直したい
通信の品質に不満がある

LTEを利用したバックアップ回線で、小中学校等48拠点を冗長化。
子ども達の安全・安心を確保しながら、校務ネットワークの高速化、保守の一元化も低コストで実現

神奈川県平塚市で小中学校の通信インフラを管理する平塚市教育研究所では、情報通信の専門ではない職員にも運用可能なインフラ体制への転換を模索していた。落雷等により通信回線の切断がひとたび起きると学校業務が停滞し、復旧にかかる職員の負担も少なくないためだ。そこで採用されたのが、自治体のインフラ整備に実績のある日本電子計算にアルテリア・ネットワークスが協力して提案した閉域VPNサービス「クローズドIPネットワーク」。NTT東日本とSoftBankの固定回線とLTE回線を組み合わせた冗長構成に、24時間365日の稼働監視を行う保守の一元化もパッケージングし、ネットワークの再構築を低コストで実現した。

お客様概要

企業名:
平塚市教育研究所
業種:
研究機関(教育研究機関)

神奈川県平塚市教育委員会のなかに、1951年に開設された研究機関。「平塚市総合計画 生活快適・夢プラン」並びに今日的諸課題と学習指導要領を踏まえ、新しい時代にふさわしい教育を目指し、中・長期的な展望に立って、学校・教職員のニーズにこたえるべく調査研究や研修、情報提供活動等を行うことを旨とする。教育の情報化においては、校務用・教務用ネットワークの管理・運用や小中学校のICT機器の整備を担っている。

インタビュー

青嶋 俊憲 氏

平塚市 教育研究所
主査

導入の背景

情報通信の専門職員が少ない教育委員会
誰にでも管理できるインフラ作りが急務

現在、教育の現場では学籍や成績をはじめ、各種の書類、スケジュール等、様々な情報が電子化されている。校内の業務を電子化して効率化することで、教職員が児童・生徒に対してより多くの時間を割けるようにと、「教育の情報化」を推進している。そのために必要な通信インフラから、校務支援システムと呼ばれる成績計算システムやグループウェア、ファイルサーバー、小中学校のパソコンまでの保守・運用・管理を一括して担うのが平塚市教育委員会の教育研究所だ。
教育委員会の職員は、主に学校から異動してくる一般の先生方だ。3-4年ごとに異動するため、情報通信分野の専門知識を身につけたり、後任を育てたりすることが難しい環境にあり、平塚市教育研究所では負担の少ないインフラ運用体制に再構築することが望まれていた。

通信の停止は即、校務の停滞に繋がる
ネットワークの冗長化を検討

平塚市教育研究所の既存のネットワークは、データセンターと小中学校等48拠点を結ぶ回線を6つのグループに分けた、複雑な構成となっていた。さらに、ひとたび通信に不具合が発生すると、学校の業務が滞ることはもちろん、教育研究所職員もその対応に追われる状況だったという。
「これまではルータが故障したり、データセンターにアクセスができないという事象が発生した時は、現地へ行ったり、職員が直接問い合わせたりして対応していましたが、原因箇所の特定と復旧までに膨大な時間がかかっていました。さらに、データセンターにすべての情報を集約をしているので、その回線が切れると業務が何もできなくなってしまうため、データセンターへの回線冗長化が必要だということも従前からの課題になっていました」(青嶋氏)

神尾 拓朗 氏

日本電子計算株式会社
公共事業部 部長

石井 達也 氏

日本電子計算株式会社
公共事業部

導入の経緯

複数の通信キャリアで構成できるクローズドIPネットワークを導入

平塚市教育研究所への提案は、平塚市教育委員会が使用しているデータセンター事業者である日本電子計算が行った。
2014年度頃、青嶋氏が日本電子計算に「データセンター事業者として、情報通信環境までを一元的に保守管理できないか」と相談したところ、一元的にサポートできる通信回線、VPN網、ルータへの切り替えを日本電子計算が提案。その後、通信回線とVPNの切り替えが実施されることになった。

アルテリア・ネットワークスは、日本電子計算のパートナー企業として閉域VPNサービス「クローズドIPネットワーク」を提案。マルチキャリアの強みを生かして様々なアクセス回線を柔軟にカスタマイズし、冗長構成にも対応できるセキュアなサービスだ。このとき、データセンターの構成はメイン回線にNTTの固定回線、バックアップ回線にSoftBankの固定回線の冗長構成とし、各拠点の構成はNTTの固定回線のシングル構成となった。各拠点の固定回線障害時に備え、モバイル型のLTEルータを新たに採用し、教育研究所にて配備する体制とした。

2015年8月に行われた切り替えでは、当初、拠点数が多く調整が難しいと予想した日本電子計算の石井氏だが、「アルテリア・ネットワークスが専任の回線開通担当者をつけて、日々の進捗管理や課題を日本電子計算、平塚市教育研究所にも常に共有したことでスムーズに切り替えを行うことができました。顧客目線に立って気づいた懸念事項をプッシュで発信してくれることにも非常に助けられましたね」と評価する。

固定回線とLTE回線の冗長構成を低コストでパッケージング 

しかし、古いルータを維持したまま回線を変更したことで、一部のホームページを閲覧できない、大容量のファイルのコピーに失敗する等の不具合が発生。そのため急遽、全拠点のルータの切り替えも行うこととした。

ここで、日本電子計算の神尾氏は以前から温めていた「全拠点でLTEを使った回線冗長化」を提案。メインの固定回線とバックアップのLTE回線を1台のルータで実装でき、メインからバックアップへの切り替えも自動で行われるため、職員が現場に向かう手間がなくなる。問題はLTEの価格だった。

各通信キャリアと商談を行った神尾氏は「ルータまでを設定し、保守のパッケージにも含めるとなると、各社ともすごく高いんですね。そのなかで、柔軟にサービスのパッケージを作ってくれたのは1社だけだったのでアルテリア・ネットワークスに決めました」と選定の経緯を語る。同時期にアルテリア・ネットワークスが提供を始めたLTEのSIMを内蔵できるLTEモジュール搭載型VPNルータ「Agater」を採用したことがコスト削減に一役買ったかたちとなった。

ルータの切り替え前には、データセンターと教育研究所の環境をお借りして3社が合同で検証を実施。「この検証は私達だけではできなかった検証構成というところもありましたので、アルテリア・ネットワークスの手厚いサポートを感じました」(石井氏)

導入効果

専門職員がいない時にも通信障害に対応できる体制を実現

ルータを切り替えた効果はすぐに現れた。「テストで何ギガもあるファイルをコピーしたところ、目に見えて早かったです」と、青嶋氏は検証段階から実感。

全拠点のルータ切り替え後、すぐに保守一元化が効果を発揮する機会も訪れた。「ある拠点で通信ができないという状態が起きてしまいました」と、青嶋氏。日本電子計算はその状況を検知しており、平塚市教育研究所に連絡した。同時に、原因の特定を行い、「監視システム上でネットワークの異常を検知しているが、LTE回線からの通信はできていることから、光回線の断線を疑いました」と推測した石井氏は、アルテリア・ネットワークスにも調査を依頼。

アルテリア・ネットワークスは、光回線の断線と確認すると、直ぐに光回線の復旧を業者に手配した。青嶋氏は「後の報告で鳥類が回線をついばむ等で断線したとわかりましたが、検知から復旧まで半日もかからず、対応の早さに驚きました。その間にLTE回線を使用することができ、冗長構成を活かすこともできました」と、期待通りの効果が現れたことに安心した表情を見せた。
 

竹下 章子

アルテリア・ネットワークス株式会社
法人営業本部

原田 悠里

アルテリア・ネットワークス株式会社
ソリューション本部

今後の活用

冗長化で大規模災害にも対応可能に

全拠点がLTEによる冗長構成となったことで、短時間の回線障害に限らず、大規模な災害を想定することも可能になった。

「学校は子ども達を守ることが大切です。常設の冗長化をご提案いただいたことで、大規模で広範囲な災害が起きて長期間復旧のめどが立たない時も、校内の業務の停滞を招きづらい環境になりました。LTEが繋がれば緊急時に保護者への一斉配信メールなどの情報発信ができますし、学校は避難所にもなりますので、インターネットからの情報収集も重要になってくると思います」(青嶋氏)

日本電子計算とアルテリア・ネットワークスの提案が、子ども達の安全・安心を守る通信インフラに貢献している。