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国内企業のSASE導入状況など最新動向を調査


企業のセキュリティ対策において、ネットワークとセキュリティを統合的に強化できる「SASE」(Secure Access Service Edge)への注目が高まっています。多様な働き方やクラウド活用の広がりを受け、従来の境界型セキュリティでは対処が難しいケースも増えてきました。 

そこでアルテリア・ネットワークスでは、ネットワークインフラを運用、または関連製品やサービスの導入に関与、または製品やサービスを提案・販売すると回答した方々285名を対象としたアンケート調査を実施しました。この調査では、SASEおよびEDR(Endpoint Detection and Response)の導入状況や導入時の課題、企業が期待する効果などについて伺いました。本記事では、その調査結果の一部について詳しく解説します。 

また、調査結果の全項目を掲載した調査レポートも無料でダウンロードいただけます。ぜひ本記事をご一読のうえ、調査レポートも併せてご活用ください。

<調査概要> 
・ 調査対象:アイティメディアID会員のうち、お勤めのネットワークインフラに関するご自身の立場について「製品/サービスの導入を決定する立場」または「製品/サービスを検討する立場」または「運用する立場」または「製品/サービスを提案・販売する立場」と回答いただいた方 
・ 調査委託先:アイティメディア株式会社 
・ 調査期間:2025年1月24日~2025年2月19日 
・ 調査手段:Web メディア掲載およびメール配信による オンラインアンケート 
・ 有効回答数:285件 
・ 調査レポートに含まれるその他の質問:利用中のネットワーク技術の種別/利用中のネットワークインフラの課題/身近な脅威/EDRの導入状況/関心のあるネットワーク分野の同行/回答者属性

ネットワークとセキュリティの実態と展望に関する市場調査レポート

SASEが求められる背景とは?

近年、インターネットを利用した情報のやり取りは、ビジネスにおいて欠かせないものとなりました。それにともない、企業の情報資産を狙ったサイバー攻撃も増加し、攻撃の手口はますます巧妙化しています。特にコロナ禍以降は「ランサムウェア」や「ノーウェアランサム」※など、金銭の搾取を目的とした悪質な攻撃が急増し、高い水準で推移しています。 

※ノーウェアランサム:データを暗号化せず、盗み出した情報の公開を脅迫材料に身代金を要求するサイバー攻撃手法

【出典】「令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」 
 <企業・団体等における被害の報告件数の推移>より|警視庁 


また、テレワークやクラウドの活用が広がる中で、オフィス外で業務を行うケースや、社外から社内ネットワークにアクセスする機会が増えています。 

そのため、従来のようにオフィス内外を明確に区切る「境界型」と呼ばれるセキュリティモデルでは、十分に対応できなくなってきました。こうした背景から、すべてのアクセスを信用しない「ゼロトラスト」という考え方が注目されています。そして、その実現手段としてSASEソリューションへの期待が高まっています。 

SASEの導入状況

では、SASEはどの程度導入されているのでしょうか。アルテリア・ネットワークスは、ネットワークインフラを運用、または関連製品やサービスの導入に関与、または製品やサービスを提案・販売すると回答した285名に調査を実施しました。 

その結果、SASEを「全ネットワークで切り替え済み」と回答した企業は6.0%、「一部ネットワークで切り替え済み」は6.7%で、合計しても1割強にとどまりました。 

一方、「いずれ切り替えたいと考えており調査・準備を始めた」と答えた企業は7.7%、「いずれ切り替えたいが未着手」との回答は18.9%です。これらを合わせると全体の26.6%となり、約4社に1社がSASE導入に前向きであることがわかりました。 

このように、SASEへの関心は高いものの、実際の導入に踏み切れていない企業が一定数存在していることがうかがえます。では、導入の障壁にはどのようなものがあるのでしょうか。次の章で詳しく解説します。 

SASE導入の障壁

アルテリア・ネットワークスの調査によると、SASE導入の障壁として最も多かったのは「セキュリティ対策に投資できる予算の制約がある」(40.0%)という理由でした。次いで「人材の不足」(29.8%)、「適切な製品やサービス選定の難しさ」(23.5%)が続きます。 

また、「特になし/わからない」と回答した割合も29.8%となっており、SASEの概念や技術的な背景が十分に理解されていないことも明らかになりました。これらの結果から、多くの企業がSASEに関心を持ちながらも、情報不足やリソースの制約によって導入に踏み切れていない現状がうかがえます。 

「人材の不足」や「サービス選定の難しさ」といった項目が上位に挙がっていることから、導入を推進するためには、自社のネットワーク課題を明確にし、製品選定から導入、運用まで一貫して支援できる「パートナー」と連携することが重要です。導入障壁を乗り越えるには、伴走できるパートナー選びが大きなポイントとなるでしょう。 

SASEに期待する効果

SASEに期待されている効果として最も多かったのは「セキュリティの向上」(54.4%)で2位の項目と20ポイント近くの差が開きました。これは、ランサムウェアなど高度化する脅威が増え、その多くが、VPNやリモートアクセスなど多様な働き方によるネットワークの弱点を狙っていることが影響していると考えられます。 

次いで「運用管理の効率化」(35.4%)、「コストの最適化」(20.0%)、「パフォーマンスの向上」(19.3%)など、セキュリティ以外の面でも多くの期待が寄せられました。 
SASEは、トラフィックを一元管理することで通信経路を最適化し、ネットワーク機能を仮想化することでシステムの拡張性も高めることができます。これにより、全体のパフォーマンス向上や運用負荷の軽減にもつながるでしょう。また、複数拠点やリモート環境を抱える企業にとっては、場所を問わず安全かつ効率的にネットワークを運用できる点も、大きな魅力といえます。 

アルテリア・ネットワークスの提供サービス


アルテリア・ネットワークスでは、高速インターネット回線や閉域網接続、セキュリティ診断(脆弱性診断)など、企業のセキュリティやネットワークの課題に応える幅広いサービスを展開しています。 
また、現状のネットワーク環境を丁寧に可視化し、企業の課題やニーズに合わせた最適な構成のご提案から、導入後の運用までトータルでご支援しています。 

社内に専門人材が不足している場合でも、弊社の伴走支援を活用いただくことで、無理なくSASEなどの導入や運用体制を整えることが可能です。セキュリティ向上やネットワークのパフォーマンス向上、運用負荷軽減などに課題をお持ちの企業様はぜひお気軽にご相談ください。 

アルテリア・ネットワークスのネットワークサービスはこちら

まとめ

テレワークやクラウドサービスの普及により、従来の境界型セキュリティの限界が明らかになりつつあります。こうした中、ゼロトラストを実現するSASEソリューションが注目されています。 

今回の調査では、多くの企業がSASEに興味を持ちながらも導入に踏み切れていない現状や、導入に向けた課題、期待される効果が明らかになりました。SASEを本格的に導入するには、信頼できるパートナーと連携し、課題の洗い出しから導入後の運用までの支援体制を構築することがポイントとなります。 

SASEの導入をご検討中の方や、これから導入したいが何から始めればよいかわからない方、また現在のネットワークに課題をお持ちの方はアルテリア・ネットワークスにお気軽にご相談ください。 

今回、ご紹介した調査データの全文は、下記より無料でダウンロード可能ですのでお役立ていただけますと幸いです。 

「ネットワーク」と「セキュリティ」の実態と展望に関する市場調査概要