1. 法人向けトップ
  2. 導入事例
  3. TOTO株式会社様

TOTO株式会社様

課題
トラフィックが増大している
通信コストを見直したい
成果
安定稼働しており、回線スピードも確実に速くなった
一元的な保守対応
TOTO株式会社では、増大するデータ量に対応し、さらに部門間のスムーズなデータ連携を実現するために、ネットワークインフラの増強を目指した。
そしてアクセス回線としてBフレッツなどを利用できる当社のVPNサービス「VECTANT クローズドIPネットワーク」を採用、新たな拠点間ネットワークを構築し、既存IP-VPNとの相互補完体制を構築した。
これにより安定したネットワーク運用が可能となり、既存網に比べて約15%のコスト削減も実現できているという。

お客様概要

企業名:
TOTO株式会社
業種:
メーカー

人々の生活に欠かせない『水まわり商品』を通じて、豊かな生活を実現する『生活環境企業』を目指す、住宅設備機器メーカー最大手。 日本初のユニットバスルームをはじめ、ウォシュレットやシャンプードレッサーなど生活習慣を変革させる商品を次々と開発してきた。 衛生陶器や浴室関連機器の製造販売をはじめ、リフォーム需要の開拓でも業界をリードしている。

導入フロー

導入の背景

課題1バックアップ回線にかかるコストが大きな負担。

当社の提案
ワンストップで保守運用サービスが受けられる新たな閉域網を構築し、アクセス回線としてBフレッツを利用する、VECTANT クローズドIPネットワークを提案。

課題2情報系データ増大化への対応、部門間のデータ連携の速度向上を図りたい。

当社の提案
既存のIP-VPNには主に基幹系データを、新たな閉域網には主に情報系データを流すという切り分けを行ない、障害時には各々のネットワークが相互に補完し合うキャリア冗長化を実現。

導入のポイント

POINT1コストの安さ、セキュリティの高さ、管理のしやすさ。

POINT2ユーザー企業側で、ネットワークデザインが可能であったため。

POINT3技術力と対応の速さにも、大きなアドバンテージがあった。

導入の効果

効果1安定稼働しており、回線スピードも確実に速くなった。

効果2一元的な保守対応。

効果2約15%のコスト削減効果が出た。

ネットワーク構成図

インタビュー

角田 誠一 氏

TOTOインフォム株式会社
システム技術部
システム技術部長
兼 システム技術第一グループリーダー

導入の背景

安価なBフレッツを利用できる新たな拠点間ネットワークを模索

これまでTOTOでは、大手キャリアの提供するIP-VPNを利用して拠点間ネットワークを構築していた。アクセス回線としては専用線を用い、障害時に備えて別途バックアップ回線も敷設、販売や在庫といった基幹系の企業データに加えて、CADや電子メールなどの情報系データも全てこのネットワークを介してやり取りしていた。

以前の状況について、TOTOグループの情報システム子会社である、TOTOインフォム株式会社 システム技術部 システム技術部長 兼 システム技術第一グループリーダーの角田誠一氏は、次のように説明する。

「バックアップ回線は10年前から敷いていましたが、その維持には高額な費用がかかっており、TOTOの情報インフラコストに対して大きな負担となっていました。また増大する現在のコンテンツ量や回線の使用率が常時80%を超える状態を考えれば、メインの専用線が切断した時に今までのバックアップ回線では対応できません。かといってその部分を増強しても、普段使用する機会はほとんどないので、維持費だけがかさむことになります。今後の対策に頭を悩ませていた時に、アクセス回線として利用できる安価なBフレッツが普及、安定し始め、さらにこれを利用したネットワークマネージドサービスが提供され始めたのです」

そこで同社では、これらのネットワークサービスを自社内に取り込み、既存の拠点間ネットワークの増強と安定稼働、さらには運用コストの削減を目指すことにした。CADや電子メールなどのデータ増大化への対応と、部門間のデータ連携の速度向上を図るものだ。

大塚 英一 氏

TOTOインフォム株式会社
システム技術部
システム技術第ニグループ

ネットワークの構成

クローズドIPネットワークを導入して、既存IP-VPNとの相互バックアップ体制を実現

具体的なネットワーク構想としては、ワンストップで保守運用サービスが受けられる新たな閉域網を構築し、アクセス回線としてBフレッツを利用する、というものだ。そして既存のIP-VPNには主に基幹系データを、新たな閉域網には主に情報系データを流すという切り分けを行ない、障害時には各々のネットワークが相互に補完し合うキャリア冗長化を実現する。ここで採用されたのが、ヴェクタントの提供する「VECTANTクローズドIPネットワーク」だ。

2006年1月にヴェクタントからの提案を受け、約1年半の検証期間の後、2007年9月に採用を決定した。ヴェクタントのネットワークサービスを選んだ理由として、角田氏は「コストの安さ、セキュリティの高さ、管理のしやすさ」を挙げる。

コストの安さは言うまでもなく、重要な企業データが流れる拠点間ネットワークのセキュリティ確保は必須の要件だ。また保守運用の手間とコストを削減するため、新たなネットワークに接続する営業所や支社・工場は一極集中で管理したい。さらに障害発生時にもワンストップで対応してもらえる保守サービスを求めていた。こうした全ての要件を満たしたのが、ヴェクタントの閉域型VPNサービスだった。

またTOTOインフォム株式会社 システム技術部 システム技術第ニグループの大塚英一氏は、ヴェクタントに提示した主要条件の1つとして「ユーザ企業側で、ネットワークデザインが可能なこと」を挙げる。それというのも、TOTOではエンドユーザの要望に迅速に応えるため、社内の技術的なスキルを高めて可能な範囲で対応していくという方針を採っており、ネットワーク設計も自社で管理している部分が非常に多かったからだ。

「我々がやりたいネットワークデザインは、サブネット単位でどちらの網を使うかというレベルではなく、このIPアドレスはこちらの網、将来的にはこのサーバのこのポート番号はこちらの網、というような使い方までを想定したものです。そのため、我々が制御できる範囲が小さくなることは、どうしても避けたかったのです」(大塚氏)

こうしたユーザ企業側での柔軟なネットワークデザインが可能だったことも、クローズドIPネットワークの大きな選定理由になった。またヴェクタントの技術力と対応の速さにも、大きなアドバンテージがあったという。

「約1年半の検証期間中には、自社内の検証環境で試したことをクローズドIPネットワークでも実現可能かというやり取りを、何度もさせていただきました。そうしたコミュニケーションを通じて、ヴェクタント様の技術力は自ずと見えてきました。他社とも同じやり取りをしていましたが、やり取りのテンポは非常に速かったですね」(大塚氏)

望月 崇年

株式会社ヴェクタント
ネットワークソリューション部
副部長
兼 サービスインプリメンテーション課 課長

小林 睦

株式会社ヴェクタント
第一営業部 営業課 課長代理

導入の効果

データ容量の増加にも対応した安定稼働を実現

2007年9月の運用開始から現在に至るまで約1年が経過しているが、具体的な効果として大塚氏は「安定稼働しているということが一番です。また回線スピードも確実に速くなっていますが、エンドユーザからは"早くなったね"という声は特に上がってきていません」と苦笑しながら話す。「ただ、ネットワークを流れるトラフィック量を見ている限り、従来の約5倍にはなっています。つまりこれまでには無かったデータがネットワーク上を流れているということです。エンドユーザが気付いていないだけで、利便性は確実に向上しているはずです」(大塚氏)

また大手キャリアの既存のIP-VPNでは、何か障害が発生した場合、TOTO側で障害の切り分けを行ない、IP-VPN側なのか、あるいはアクセス回線であるBフレッツ側なのかといった判断を下して、自分達で各キャリアに問い合わせる必要がある。しかしクローズドIPネットワークは、ヴェクタントがワンストップで障害対応に当たる。

ヴェクタントのネットワークエンジニアの望月崇年は、本格稼働後の障害対応について、「TOTO様のサポートチームからお問い合わせをいただき、弊社のサポートセンターがBフレッツの回線を強制的に切って、アッカのバックアップ回線に切り替える、という運用を行なったことがありました。原因はBフレッツの輻輳であり、ヴェクタントのネットワークでありませんでしたが、一元的に保守の対応を実施しております。」と語る。

「一元的に保守を担当していただけるのは、社内の保守運用部隊も高く評価している部分です。また我々ユーザ企業には見えない細かいネットワーク上の設定についても、キャリア同士なら技術的な各論ベースでの折衝が可能だと思います。いわばユーザ側の障害を技術的な話に換えて対応してくれる。これは我々には絶対にできないことです」(大塚氏)

また角田氏は、既存のIP-VPNと比較したクローズドIPネットワークのコスト感について「今回の対象となった拠点では、ネットワークやルータなど機器の費用まで含めて、約15%のコスト削減効果は出ていると思います」と語り、「ショールームや営業所など、これまで二重化できていなかった拠点のネットワークが冗長化でき、さらに安いコストで安定稼働しているというのが、クローズドIPネットワークの導入効果に尽きます」と総括する。

最後に検証時から実際の導入期間、そして保守運用を通じて感じたヴェクタントに対する率直な印象を聞いた。「当初はキャリアの1社としてしか見ていなかったヴェクタント様に、ネットワーク設計の深いところまで入ってサポートしていただいたことには、本当に感謝しています。それが無ければ、今回のプロジェクトもここまで順調には進まなかったと思います。また非常にフットワークが軽く、本格稼働後もよく会いに来てくださいます。特に困ったことがなくても、Face to Faceでいろいろとお話させていただく中で、新たに考えるべきポイントも見えてきたりします。導入後も変わらないユーザ視点での対応は、本当にありがたいですね」(大塚氏)

ヴェクタントで営業を担当する小林睦も、「当初はヴェクタントの会社としての信頼性について聞かれたこともありましたが、検証期間からのやり取りを通じて、大手キャリアにはない私たちの小回りのよさやきめ細かい対応を、高く評価していただけるようになりました」と語る。

今後の展開

他拠点のクローズドIPネットワークへの移行を継続、新たなシステム活用の可能性も拡大

今回のプロジェクトでは、TOTOの支社・工場と営業所だけが対象となったが、今後第二弾として、既存のIP-VPNにつながっているグループ会社およびその拠点である約200箇所をクローズドIPネットワーク側に移行していく予定だ。

「2008年下期から2009年にかけて、コスト削減効果の期待できる拠点から、引き続きクローズドIPネットワークに移行させます。切り替え作業の負荷もあるので、進め方は調整しながらですが、今は第二弾の移行作業と共に、今回二重化した拠点間ネットワークの運用を完全に落ち着かせるのが最重要課題です」(角田氏)

また今回のクローズドIPネットワークの導入で、大容量のデータをやり取りすることが可能となったが、これによりショールームでは、見込み客である来場者に対して、様々なパーツの3次元データをその場で組み合わせ、要望に沿った製品やデザインをその場で提案できるようになったという。

「ショールームにおける提案活動を、これまで以上に支援できるようになりました。ネットワークインフラが増強されたことで、今後、様々な取り組みが可能になると思います」(大塚氏)

この点を補足して角田氏は、「今回のクローズドIPネットワークの導入を例えるなら、広くてきれいに舗装された幹線道路が完成したことで、新たな物流や都市計画の可能性が広がったということです」

実際に同社では、2009年からグループポータルを構築し、このネットワーク上で情報交換を促進していくことなどを考えているという。クローズドIPネットワークの利用場面は、今後もさらに拡大していきそうだ。

本紙に記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

事例記述内容は取材当時のものです。

株式会社ヴェクタントとは、アルテリア・ネットワークス株式会社の旧社名です。

VECTANTとはアルテリア・ネットワークス株式会社が提供するIP接続サービスのブランド名です。